開業準備でいちばん多い失敗は、全部を同時に作ろうとして、全部が中途半端になることです。
印鑑、名刺、ロゴ、ホームページ、パンフレット。並べると多く見えますが、開業の日に必要なものは2つだけです。残りは後から足せます。
私たちはホームページを作る立場ですが、開業と同時にホームページを作る必要はないと考えています。理由も含めて、優先順位を整理します。
優先順位は3段階に分かれます

判断基準は「無いと業務が始まらないか」です。
無いと始まらないものは2つ。あると便利なものは後から足せます。「作りたい順」ではなく「無いと困る順」で並べてください。
開業日までに必要なもの
① 職印
業務に必要です。会の規定に沿った様式で作ります。開業前に用意してください。
材質やサイズは規定に関わるので、所属予定の会の指定を確認してから発注してください。「行政書士用」として扱っている印鑑店なら、規定を把握しています。
② 名刺
いちばん費用対効果が高いものです。挨拶回りで使うので、開業日には手元にあるべきです。
そして名刺に何を入れるかで、その後の紹介の量が変わります。

必ず入れる
- 氏名(読み方も。難しい漢字は必須)
- 行政書士登録番号
- 事務所名・住所・電話
- 専門分野
専門分野がいちばん重要です。「行政書士」だけだと、相手は何を頼めるか分かりません。「建設業の許可を専門にしています」と書いておくと、相手の周りで話が出たときに思い出されます。
→ 参考:「紹介を増やす仕組みの作り方」
できれば入れる
- 顔写真 … 会った人が後で思い出せます
- メールアドレス(独自ドメインのもの)
- ホームページのURL(作ってから)
入れなくていい
- QRコードを複数(どれを読むか分からなくなります)
- 資格の一覧(多いほど専門性が薄く見えます)
- 長い理念や挨拶文
数ヶ月以内に用意するもの
Googleビジネスプロフィール
費用0円です。開業したら、その週に登録してください。「地域名+行政書士」で地図に表示されるようになります。
本人確認のハガキに2週間かかるので、早く始めるほど早く出ます。
→ 「行政書士のMEO集客」
独自ドメインのメールアドレス
`◯◯@gmail.com` でも業務はできますが、士業の信用という面では差が出ます。
ドメインは年1,500円程度です。屋号が決まった時点で取っておいてください。
→ 「行政書士の屋号・事務所名の決め方」
請求書・見積書の様式
最初の受注までに用意します。エクセルで足ります。専用ソフトは案件が増えてからで間に合います。
後回しでよいもの
ロゴ
開業直後に必要かと聞かれれば、必要ではありません。
ロゴがなくても、名刺は作れますし、依頼は取れます。依頼者はロゴを見て選びません。
ただしあると統一感が出ます。名刺・封筒・ホームページで同じ印象を作れるので、分野が固まってから作るのが合理的です。屋号や分野が変わる可能性がある段階で作ると、作り直しになります。
ホームページ
分野が決まる前に作ると、内容が「何でもやります」になります。
目安は開業3〜6ヶ月、または受任10件。ただし相続や在留資格のような個人向けの分野を最初から扱うなら、開業と同時に必要です。
→ 判断基準は「行政書士にホームページは本当に必要か」
パンフレット・封筒・事務所の看板
必要になってから作ってください。開業直後に必要になる場面は、ほとんどありません。
費用をかける順番

開業の月に使う金額は、抑えられるだけ抑えてください。
理由は、固定費と初期費用が膨らむと判断が焦ることです。焦った判断は、ほぼ必ず「単価を下げて受ける」方向に向かいます。そして最初の値付けは、後々まで残ります。
→ 「行政書士が単価を上げる方法」
まとめ
- 開業日に必要なのは職印と名刺の2つだけ
- 判断基準は「作りたい順」ではなく「無いと業務が始まらない順」
- 名刺には専門分野と登録番号を必ず入れる。ここで紹介の量が変わる
- Googleビジネスプロフィールは0円。開業したその週に登録する
- ドメインは屋号が決まった時点で取る。年1,500円程度
- ロゴは後回しでよい。依頼者はロゴを見て選ばない
- ホームページは分野が決まってから。ただし個人向け分野は開業と同時
- 開業の月の支出は抑える。焦ると単価を下げることになる
よくある質問
Q. 名刺は何枚くらい刷ればいいですか。
100枚から始めてください。足りなければ刷り足せます。専門分野を変える可能性がある段階で500枚刷ると、余ります。
Q. ロゴを自分で作ってもいいですか。
構いません。ただし名刺やホームページで使い回すので、拡大しても崩れない形式で作ってください。無料ツールで作ったものは、印刷で粗くなることがあります。
Q. 事務所の看板は必要ですか。
会の規定によります。事務所の表示について定めがある場合があるので、所属予定の会に確認してください。集客のためというより、要件としての確認が必要な項目です。
Q. 全部そろえるといくらかかりますか。
最小限なら数万円で始められます。内訳は「行政書士の開業費用はいくら?」でまとめています。
