行政書士の廃業を防ぐ経営のポイント

行政書士の廃業を防ぐ経営のポイント 集客・開業

私は消防士を6年やって、そのあと物販をやって、いまは会社を経営しながら産業廃棄物の会社で営業をしています。

やってみて分かったのは、始めるより続けるほうが難しいということでした。

そして止まるときは、実力が足りなかったからではありません。たいてい、お金の計算か、順番を間違えています。

ここでは行政書士に限らず起きることを、行政書士の条件に当てはめて整理します。

なお廃業率などの統計は出しません。年によって調査が違い、数字だけ切り出すと誤解になるためです。

止まる原因は、だいたい3つ

事務所が続く場合と止まる場合の違いを、固定費・値付け・回収期間で比較した表

① 固定費が先に膨らんでいる

これがいちばん多いと思います。

事務所を借りる。ソフトを契約する。広告を回す。どれも毎月出ていきます。

行政書士には、これに加えて会費があります。売上がゼロの月も出ていく。

固定費が上がると、判断が焦ります。そして焦った判断は、ほぼ必ず「安く受ける」方向に向かいます。

② 最初の値付けが低いまま固定されている

安く受けると、たしかに仕事は入ります。

ただ、安く受けた依頼者は、同じ予算の知人を紹介してきます。私は物販でこれを痛感しました。安く買った人は、安く買える店として紹介します。

金額そのものより、その後に来る依頼の層が決まってしまう。

そして件数で埋まると、処理に追われて集客の時間がなくなります。

→ 「行政書士が単価を上げる方法」

③ 回収までの期間を計算していない

集客には、効き始めるまでの時間があります。

ホームページも記事も、公開してすぐには効きません。数ヶ月かかります。

その期間を生活費で持ちこたえられるかどうか。ここを計算せずに始めると、効き始める直前で止まります。

いちばんもったいない止まり方です。

→ 「行政書士は開業してもすぐ食えない?現実と対策」

固定費と、回収期間の関係

固定費の大きさと回収までの期間で、安全な始め方と危ない始め方を配置した図

見るべきは金額の大小ではなく、組み合わせです。

固定費が小さく、回収が早い。 ここが安全です。挨拶回りや紹介は費用がかからず、当たれば早く入ります。

固定費が小さく、回収が遅い。 記事やGoogleビジネスプロフィールがここです。遅いけれど、止めても残ります。仕込みとして同時に回す価値があります。

固定費が大きく、回収が早い。 広告です。止めた瞬間に流入もゼロになります。当たりが分かってから使う道具で、最初に使うものではありません。

固定費が大きく、回収が遅い。 事務所を借りて、大きなサイトを作って、待つ形です。ここがいちばん危ない。

危ないサインの見分け方

数字を毎月見ていれば、止まる前に気づけます。

毎月、この4つだけ書き出してください。

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① 今月の売上

② 今月出ていった固定費(会費も入れる)

③ 問い合わせの件数

④ 手元に残っている現金(あと何ヶ月もつか)

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エクセルで足ります。専用のソフトは要りません。

④が6ヶ月を切ったら

判断を変える時期です。

この段階でやることは、売上を増やすことではありません。固定費を下げることです。

売上は自分でコントロールできませんが、固定費は自分で決められます。

問い合わせが来ているのに売上が伸びないとき

集客の問題ではありません。受注側か、単価側です。

ここを間違えて広告を足すと、固定費だけが増えます。

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連絡が来ない → 知られていない

連絡は来るが決まらない → 受注の仕方

決まるが残らない → 単価と1件あたりの時間

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→ 「行政書士のHPで問い合わせを増やす方法」

立て直す順番

立て直すときに手をつける順番を、止血・値付け・仕込みの3段階で示した図

止血が先です。

売上を増やす話から始めたくなりますが、売上は時間がかかります。固定費を下げるのは、今日できます。

そのあとで値付けを直し、最後に仕込みを回す。この順番を逆にすると、間に合いません。

止めるべきもの、残すべきもの

止める判断で迷ったら、「止めたら何が消えるか」で考えてください。

広告は、止めた瞬間に流入が消えます。残らないものです。

記事やGoogleビジネスプロフィールは、止めても残ります。手を止めても消えないので、優先して残す。

事務所は、契約期間があるのですぐには動かせません。だからこそ最初に借りないほうがいい。

やめることは失敗ではありません

ここは書いておきたいところです。

資金が尽きる前にやめる判断は、失敗ではありません。

いちばん避けたいのは、生活が壊れるまで続けることです。兼業に戻る、一度勤めに出る、時期を変えて再開する。どれも選択肢です。

私も物販から一度離れました。離れたから、次ができました。

→ 「行政書士と会社員の兼業はできるか」

まとめ

  • 止まる原因は実力ではなく、固定費・値付け・回収期間の3つ
  • 行政書士は会費が売上ゼロの月も出ていく。年額で把握する
  • 固定費が上がると判断が焦り、安く受ける方向に向かう
  • 安く受けると、その後に来る依頼の層が決まる
  • 集客は効き始めまでに数ヶ月かかる。持ちこたえられるか先に計算する
  • いちばん危ないのは固定費が大きく、回収が遅い組み合わせ
  • 毎月売上・固定費・問い合わせ件数・残り現金の4つを書き出す
  • 残り6ヶ月を切ったら、売上ではなく固定費に手をつける
  • 立て直す順番は止血 → 値付け → 仕込み
  • 資金が尽きる前にやめる判断は、失敗ではない

よくある質問

Q. 事務所はいつ借りるべきですか。

収入が安定してからで間に合います。ただし事務所の要件は所属する行政書士会の規程によるので、自宅で登録できるかは必ず会に確認してください。要件を満たせるなら、最初は自宅のほうが安全です。

Q. 広告はいつから使っていいですか。

どの相談が受注につながるか分かってからです。それが分からない段階で出すと、来てほしくない問い合わせを集めて、対応の時間だけ減ります。

Q. 生活費はどれくらい用意すべきですか。

半年分あると判断が焦りません。金額の目安は人によって違いますが、重要なのは額より「あと何ヶ月もつか」を毎月数えることです。

Q. 売上が落ちたとき、まず何をすればいいですか。

固定費の書き出しです。売上を増やす手は時間がかかりますが、固定費はその日に減らせます。手元の現金が増えると、判断の質が戻ります。

Q. 一度やめたら、もう戻れませんか。

登録や再登録の手続きは所属会に確認が必要ですが、時期を変えて再開する人はいます。資格そのものは、待っても失われません。

作るべきか、まだ待つべきか。
そこだけでもはっきりします。

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