年収を上げようとするとき、多くの人が件数を増やそうとします。
そして頭打ちになります。1人で処理できる件数には上限があり、その手前で時間が尽きるからです。件数を追うと、集客に使う時間がなくなり、翌月の受注が減ります。
年収は3つの掛け算で決まります。どこから手をつけるかで、たどり着く場所が変わります。
年収は3つの掛け算

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年収 = 単価 × 件数 × 継続
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それぞれに性質があります。
単価 … 上限がありません。ただし上げるには根拠が必要です。
件数 … 上限があります。1人事務所なら、月に処理できる数は決まっています。
継続 … 積み上がります。今年の顧問先は、来年も売上になります。
件数だけが上限を持っています。だからここを最初に追うと、必ず止まります。
手をつける順番

1番目:単価
いちばん効きます。単価が1.5倍になれば、同じ件数で年収が1.5倍です。新しい依頼を取る必要がありません。
そしてすでにある依頼で試せます。新規の金額だけ上げて、問い合わせが減らなければ定着します。減っても既存の売上は残ります。
→ 「行政書士が単価を上げる方法」
2番目:継続
単価を上げたら、次は継続です。
許認可には更新と届出があります。最初の1件を受けた時点で、次の依頼は確定しています。問題は、依頼者がその時期に覚えているかだけです。
期限を記録して先に連絡する。これだけで毎月の売上が読めるようになります。
→ 「顧問契約・リピートの取り方」
3番目:件数
最後です。単価と継続を整えてから増やします。
理由は、安い単価で件数を増やすと、時間が尽きて集客が止まるからです。単価が上がった状態で件数を増やせば、同じ時間で売上が伸びます。
件数を追うと、なぜ止まるのか
具体的に計算すると分かります。
単価5万円で年収600万円を目指す場合
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600万円 ÷ 5万円 = 年120件 = 月10件
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月10件を1人で処理し、同時に集客もする。これは現実的ではありません。処理に追われた月は集客が止まり、翌月の受注が落ちます。
単価15万円なら
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600万円 ÷ 15万円 = 年40件 = 月3〜4件
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月3〜4件なら、集客する時間が残ります。そして丁寧に対応できるので、紹介も発生します。
同じ年収でも、単価が違うと事業の形が変わります。
単価を上げる根拠をどう作るか
「上げたい」だけでは上がりません。根拠が必要です。
分野を絞る … 「◯◯専門」と掲げるだけで、比較の対象が変わります。「業務全般」の事務所と並ぶと、価格で比べられます。
含まれる範囲を書く … 同じ金額でも、作業の内訳が見えると高く感じません。
期限管理を付ける … 「更新の時期にご連絡します」。これが継続にもつながります。
顔と実績を出す … 誰がやるか分からない相手に、高い金額は払えません。
→ 「行政書士の差別化戦略」
段階別にやること

開業直後は、単価を下げないことだけ意識してください。
実績が欲しくて安く受けたくなりますが、その金額が基準として残ります。そして安く受けた依頼者は、同じ予算の知人を紹介します。最初の値付けが、その後の依頼の層を決めます。
時間単価で見ると、判断が変わります
金額だけでなく、1件にかかる時間で割ってみてください。
| 案件 | 報酬 | かかる時間 | 時間単価 |
|---|---|---|---|
| A:許認可の新規申請 | 15万円 | 15時間 | 1万円 |
| B:定型の届出 | 3.5万円 | 2時間 | 1.75万円 |
| C:値引きした新規申請 | 8万円 | 15時間 | 5,300円 |
Bのほうが時間単価は高いことがあります。定型の届出は手慣れるほど早くなるためです。
そしてCのように値引きした案件は、時間単価が半分になります。同じ15時間を使っているのに、得られるものが違う。
「忙しいのに残らない」の正体は、ここです。金額の大きい案件が、必ず効率がいいとは限りません。
月に一度、受けた案件を時間単価で並べてみてください。どの仕事を増やすべきかが見えます。
よくある誤解
資格を増やせば年収が上がる。
上がりません。勉強している間、集客は止まります。資格は増えても、仕事を取る力は増えません。
忙しければ稼げている。
別です。単価が低いと、忙しいのに手元に残りません。忙しさではなく、1件あたりの利益で見てください。
単価を上げると依頼が減る。
減ることもありますが、新規だけ上げれば既存の売上は残ります。実際には減らないことのほうが多いです。
件数を増やせばいずれ単価も上がる。
上がりません。安い依頼が増えるだけで、時間が先に尽きます。
まとめ
- 年収は「単価 × 件数 × 継続」の掛け算
- 件数だけが上限を持つ。だからここを最初に追うと止まる
- 順番は単価 → 継続 → 件数
- 単価は上限がなく、既存の依頼で試せるので最初に手をつける
- 同じ年収でも、単価が高いほうが集客する時間が残る
- 単価の根拠は分野を絞る・範囲を書く・期限管理・顔と実績
- 開業直後は単価を下げないことだけ意識する
- 資格を増やしても、忙しくしても、年収は上がらない
よくある質問
Q. 行政書士の平均年収はどれくらいですか。
公表されている統計によって数字が異なり、幅が非常に大きいのが実態です。日本行政書士会連合会が報酬額の統計調査を公表しているので、分野ごとの金額分布はそちらで確認してください。平均値を追うより、自分の単価が相場のどこにいるかを見るほうが実用的です。
Q. 単価を上げると、いまの依頼者が離れませんか。
新規だけ上げれば離れません。既存の依頼者はそのままにして、新しい依頼の金額だけ変えてください。リスクがいちばん小さい方法です。
Q. 件数を増やすのはいつからですか。
単価が相場以上になり、継続の仕組みができてからです。目安は、毎月の売上が読めるようになった段階です。
Q. 人を雇えば年収は上がりますか。
売上は伸びますが、単価が低いままだと利益が残りません。人を入れる前に単価を整えてください。順番は変わりません。
