SNSは、やるべき人とやらなくていい人がはっきり分かれる手段です。
分かれ目は好き嫌いではありません。扱う分野です。ここを見ずに始めると、時間だけ使って何も起きません。
そして先に言っておくと、やらない判断も十分にあります。行政書士の集客手段は他にもあり、SNSは必須ではありません。
分野との相性で決まる

機能する分野
相続・遺言、離婚協議書、在留資格。依頼者が個人の分野です。
理由は2つあります。個人はSNSを見ています。そして「知らない人に家庭の事情を話す」ため、事前に人柄を確認したがります。SNSはそこに効きます。
機能しにくい分野
建設業許可、産業廃棄物、運送業。依頼者が法人の分野です。
経営者がSNSを見ていないわけではありません。ただし「許可の更新が必要だ」と思った瞬間に見るのはSNSではなく検索です。つまり接点の場所が違います。
法人向けの分野は、MEOと検索に寄せたほうが早いです。
どのSNSを使うか

Instagram … 相続や離婚で使われています。図解を並べる形が向いていて、プロフィールから問い合わせに流せます。
X(旧Twitter) … 情報発信と同業のつながりに向きます。ただし依頼につながりにくい傾向があります。同業者に読まれることが多いためです。
Facebook … 経営者層との相性があります。すでに人脈がある人は機能しますが、新規の獲得は難しいです。
YouTube … 相続などで効きますが、制作の手間が大きいです。1人事務所では続きません。
TikTok … 若年層向けで、士業の依頼層とずれることが多いです。
LINE公式アカウント … 集客ではなく、すでに接点のある人との連絡手段として有効です。他とは役割が違います。
1つに絞ってください
いちばん多い失敗が、同時に複数始めて3ヶ月で全部止まることです。
Instagram、X、YouTube を同時に始める。最初の2週間は投稿できます。実務が忙しくなると、全部止まります。そして止まったアカウントは、無いより印象が悪いです。更新が止まっている事務所に見えます。
だから1つだけにしてください。分野が個人向けなら Instagram から。それが続くようになってから、2つ目を考えます。
何を投稿するか
売り込みは読まれません。「困っている人が知りたいこと」を出してください。
よく受ける質問への答え … 「相続の手続きは何ヶ月かかるか」。実際に聞かれた質問がそのままネタになります。
手続きの流れ … 図で示すと保存されやすくなります。
判断の基準 … 「こういう場合は専門家に頼んだほうがいい」。自分で対応できる場合も正直に書くと、信頼されます。
人柄が出るもの … 事務所の様子、仕事に対する考え。士業は誰に頼むかで選ばれるので、ここが効きます。
守秘義務との付き合い方
ここは慎重にしてください。
実際の案件をそのまま書くのは避けてください。特定できる情報を消しても、当事者が読めば分かります。地域・業種・時期が揃うと、想像以上に特定されます。
安全なのは、一般的な説明にすることです。「こういうご相談が多いです」という書き方にとどめ、具体的な事例は使わない。使う場合は依頼者の許可を取ってください。
あわせて、広告表現については所属する会の会則や倫理規程が適用されます。「必ず許可が取れます」「地域No.1」のような表現はSNSでも使えません。投稿は残りますし、拡散もされるので、通常のサイトより注意が必要です。
続けるための運用

毎日投稿は目指さないでください。続きません。
週2回、決まった曜日。ネタは事前に10本ほど書き溜めておき、まとめて作って予約投稿する。この形でないと実務と両立しません。
そしてプロフィール欄が最重要です。投稿を見て興味を持った人が次に見るのはプロフィールで、そこから問い合わせに進みます。
- 専門分野(1〜2つ)
- 対応エリア
- ホームページへのリンク
- 顔写真
投稿を頑張ってもプロフィールが空なら、問い合わせにはつながりません。先にここを整えてください。
まとめ
- 分かれ目は好き嫌いではなく扱う分野
- 個人が依頼者の分野(相続・離婚・在留資格)では機能する
- 法人向けの許認可はMEOと検索に寄せたほうが早い
- 1つに絞る。同時に複数始めて全部止まるのが最多の失敗
- 止まったアカウントは無いより印象が悪い
- 投稿するのは売り込みではなく、よく受ける質問への答え
- 実際の案件をそのまま書かない。地域・業種・時期が揃うと特定される
- 週2回・予約投稿。そしてプロフィール欄がいちばん重要
よくある質問
Q. フォロワーは何人必要ですか。
数は重要ではありません。地域と分野が合った人が数十人いれば、依頼は発生します。全国の1万人より、地域の100人のほうが価値があります。
Q. 顔を出さずにできますか。
できますが、効果は落ちます。士業は誰に頼むかで選ばれるためです。イラストや後ろ姿でも、何も無いよりは印象が残ります。詳しくは「プロフィール・顔写真の作り方」で書いています。
Q. やらなくても大丈夫ですか。
大丈夫です。法人向けの分野なら、MEOと検索のほうが効きます。無理にやって止まるくらいなら、最初からやらないほうがいいです。
Q. どれくらいで効果が出ますか。
3ヶ月以降です。ただし問い合わせに至るかはプロフィールとホームページ次第です。SNSは連れてくるだけなので、受け皿を先に整えてください。判断基準は「HPで問い合わせを増やす方法」で書いています。
