Web広告は、お金で時間を買う手段です。
SEOやMEOが効き始めるまで半年かかるところを、予算を入れれば明日から表示されます。その代わり、止めた瞬間にゼロに戻ります。
そして先に言っておくと、相談を受ける方の多くは、まだ広告に手を出す段階ではありません。理由を説明します。
広告を始めていい条件

広告は、すでにある流れを増やす手段です。流れが無いところに投じても、増えるものがありません。
条件は3つあります。
① 受注の流れができている
問い合わせが来たら、どう説明して、いくらで受けるか。この型が決まっていること。
広告で問い合わせが増えても、受注できなければ費用だけが出ていきます。まず数件を自力で受けて、流れを作ってからです。
② 分野が決まっている
広告はキーワード単位で出します。「行政書士」全般では、広すぎて費用が飛びます。
「建設業許可 申請 代行」のように絞れていないと、関係のない検索にも表示され、無駄なクリックが増えます。
③ 受け皿がある
広告をクリックした先に、判断できるページがあるか。専門・料金・顔写真・問い合わせ導線。ここが弱いと、広告費を払って読まれて帰られます。
この3つが揃っていないなら、そこを直すほうが先です。同じ予算をかけるなら効果が大きいです。
広告の種類と向き不向き

検索広告(リスティング)
検索結果の上に出る広告です。行政書士にはこれがいちばん向いています。
理由は、探している人にだけ表示できるからです。「建設業許可 行政書士」と検索した人は、すでに依頼先を探しています。
ディスプレイ広告
サイトやアプリの中に画像で出る広告です。認知を広げる目的で、依頼に直結しにくい。士業には向きません。
SNS広告
Instagram や X に出す広告です。相続や離婚など、個人が依頼者になる分野では機能することがあります。法人向けの許認可では効きにくいです。
動画広告
YouTube など。予算規模が合わないことが多いので、1人事務所では優先度が低いです。
まず試すなら、検索広告だけで十分です。
費用の目安
広告費は「クリック単価 × クリック数」で決まります。
士業のクリック単価は高めです。数百円から、競争の激しい分野では1,000円を超えることもあります。分野と地域で大きく変わるため、一律には言えません。
実際の単価は、Googleのキーワードプランナーで調べられます。無料で使えるので、予算を組む前に必ず確認してください。「思っていたより高い」ことが多いです。
簡単な試算をすると、こうなります。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| クリック単価 | 500円 |
| 月30クリック | 15,000円 |
| そのうち問い合わせ | 1〜3件 |
| 1件あたりの獲得費用 | 5,000〜15,000円 |
この獲得費用が、受注1件の利益より小さいかどうかが判断基準です。許認可で十数万円の案件なら成立しますが、単価の低い業務では合いません。
最小で試す方法
いきなり大きく入れないでください。月1〜3万円からで構いません。
期間は最低1ヶ月。 数日では判断できるだけのデータが集まりません。
地域を絞る。 対応できる範囲だけに配信します。全国に出す理由がありません。
キーワードは3〜5個から。 絞ったほうが、何が効いたか分かります。
問い合わせ数を必ず記録する。 クリック数ではなく、問い合わせが何件来たかで判断します。
1ヶ月やって問い合わせが0なら、広告の設定か受け皿のどちらかに原因があります。予算を増やす前に、そこを確認してください。
やってはいけないこと
受け皿を整えずに始める
いちばん多い失敗です。広告費を払って人を連れてきて、判断できないページで帰らせる。もっとも高くつくやり方です。
「行政書士」だけで出す
広すぎます。試験の情報を探している人にも表示され、費用が飛びます。
業者に任せきりにする
代行を頼むのは構いませんが、何のキーワードにいくら使って、何件問い合わせが来たかは毎月確認してください。ここを見ないと、費用だけが続きます。
誇大な表現を使う
「必ず許可が取れます」「地域No.1」。広告でも所属会の規程は適用されます。審査で止まることもあります。
いつ始めるか

結論としては、受注の流れができてからです。
開業直後は、0円で効く手段が残っています。Googleビジネスプロフィール(「行政書士のMEO集客」)や、挨拶回りや紹介(「紹介を増やす仕組みの作り方」)。ここを先に使い切ってください。
広告は、それでも足りない、あるいは量を増やしたい段階の手段です。
まとめ
- 広告はお金で時間を買う手段。止めればゼロに戻る
- 始めていい条件は受注の流れ・分野が決まっている・受け皿があるの3つ
- 揃っていないなら、そこを直すほうが同じ予算で効果が大きい
- 行政書士に向くのは検索広告(リスティング)。まずこれだけでよい
- 士業のクリック単価は高め。キーワードプランナーで事前に確認する
- 判断基準は「1件の獲得費用 < 受注1件の利益」
- 試すなら月1〜3万円・1ヶ月・地域を絞る・キーワード3〜5個
- 開業直後は0円で効く手段を使い切ってから
よくある質問
Q. いくらから始められますか。
月1〜3万円で試せます。ただし少額だと表示回数も少なく、判断に時間がかかります。1ヶ月は続けてください。
Q. 広告代理店に頼むべきですか。
最初は自分で試すことをおすすめします。少額なら操作も難しくありません。何にいくらかかるかを体感してから任せると、依頼の内容も具体的になります。
Q. すぐに問い合わせは来ますか。
表示は当日から始まりますが、問い合わせが来るかは受け皿の出来次第です。広告は連れてくるだけで、決めるのはページです。改善点は「HPで問い合わせを増やす方法」で書いています。
Q. SEOと広告、どちらを優先すべきですか。
開業直後はどちらでもなく、MEOと紹介です。そのうえで、時間があるならSEO、受注の流れができていて量を増やしたいなら広告、という順番になります。
