「Wixで自分で作るのと、頼むのと、どっちがいいですか」
制作会社に聞く質問ではない気もしますが、よく受けます。そして「自作で十分だと思います」と答えることがあります。
というのも、この判断を分けるのは費用ではないからです。文章を自分で書けるかどうか、ここでほぼ決まります。
分かれ目は「原稿を書けるか」

ホームページの成果を左右するのは、デザインではなく何が書いてあるかです。「この人に頼んで大丈夫そうだ」と思わせるのは、写真の美しさではなく文章です。
そして自作ツールは、デザインの問題は解決してくれますが、文章の問題は解決してくれません。テンプレートを選べば見た目は整いますが、そこに入れる言葉は自分で考えることになります。
制作会社に頼む費用の大部分は、実はここです。「何を書くか」を一緒に決める工程にお金を払っています。
だから判断はシンプルです。
- 自分で書ける → 自作で十分。浮いた費用を広告や他のことに回せます
- 書けない・時間がない → 自作すると、途中で止まったまま公開できません
自作が向いている人
文章を書くのが苦にならない
これが最大の条件です。実務で書面を作っている行政書士は、そもそも文章を書く訓練を受けています。一般の事業者より有利な立場です。
分野が決まっている
「相続専門でいく」と決まっていれば、書く内容も決まります。逆に決まっていない段階では、誰に頼んでも良いものはできません。
まず小さく始めたい
開業直後で、どんな相談が来るか分からない段階。ここは自作でまず出して、様子を見るのが合理的です。
更新を自分でやりたい
料金改定やお知らせの追加を、その場で直したい人。自作なら管理画面から即座に変えられます。
制作会社が向いている人
書く時間が取れない
実務が忙しく、原稿づくりに何十時間もかけられない場合。時間を買う判断です。
すでに依頼が来ていて、取りこぼしが惜しい
紹介や検索で人が来ているのに受け皿が弱い状態は、機会損失が毎月発生しています。早く整えるほうが得です。
分野を絞り込む相談から必要
「何を専門にすべきか」から一緒に考えてほしい場合。ここは自作ツールでは代替できません。
検索で上位を狙いたい
内部構造の対策は、自作ツールでは手が届きにくい領域です。
費用の差は、初期費用だけではない

金額だけ並べると、自作が圧倒的に安く見えます。
自作 … 月1,000〜3,000円程度+独自ドメイン代(年1,500円前後)
制作会社 … 初期10万〜80万円+月額の保守費用
ただし、自作には「自分の時間」という費用が乗ります。
原稿を書き、写真を用意し、ツールの使い方を覚え、レイアウトを整える。ここに20〜40時間かかるのは珍しくありません。この時間を実務に充てたら、いくらの売上になったか。そこまで含めて比べる必要があります。
とはいえ、開業直後は時間のほうが余っていることが多いのも事実です。だからこの時期の自作は理にかなっています。逆に、案件が回り始めてからの自作は割高になります。
→ 制作費の内訳は「行政書士のホームページ制作費用の相場」で詳しく書いています。
よくある失敗:作り直しになる
自作でいちばん多い失敗は、途中で止まることです。
トップページだけ作って、サービス紹介と料金表が空欄のまま数ヶ月。この状態は、無いより印象が悪いこともあります。「更新が止まっている事務所」に見えるためです。
もうひとつは、分野が決まる前に作ってしまうケース。「何でも対応します」と書いたサイトは、後から専門を打ち出そうとすると、結局ほぼ全ページ書き直しになります。
どちらも、先に分野を決めてから着手すれば防げます。
始める前に確認すること

自作を選ぶ前に、この3つだけ確認してください。ここが埋まっていれば、自作で十分に戦えます。
埋まっていない項目があるなら、その項目こそが制作会社に頼む理由です。逆に言えば、そこだけ外注して他は自分でやる、という進め方もあります。
「全部か、無しか」ではない
見落とされがちですが、一部だけ頼むこともできます。
自作でいちばん詰まるのは文章です。そこで、原稿だけ書いてもらって、組み立ては自分でやるという進め方があります。逆に、原稿は自分で書けるので内部の対策だけ頼むという形もあります。
分けて考えると、こうなります。
| 工程 | 自分でやりやすいか |
|---|---|
| 分野を決める | 相談したほうが早い |
| 原稿を書く | 文章が得意なら自分で |
| デザイン・組み立て | 自作ツールで十分 |
| 写真を用意する | 顔写真だけは撮影を頼む価値あり |
| 内部の検索対策 | 自作では手が届きにくい |
顔写真は、ここだけ外注する価値が高い部分です。スマートフォンで撮った写真と、撮影してもらった写真では印象がはっきり変わります。士業は「誰がやるか」で選ばれるので、ここへの投資は効きます。
「全部頼むと予算が合わない」という場合、詰まっている工程だけ相談するという言い方で問い合わせて構いません。
分野によっても変わる
自作で足りるかどうかは、扱う分野でも変わります。
紹介が中心の分野(車庫証明、産業廃棄物、農地転用など)は、サイトが受け皿として機能すれば十分なので、自作で問題ありません。
検索から探される分野(相続、在留資格、会社設立など)は、他の事務所と並べて比較されます。ここは書く内容の質がそのまま差になるため、原稿の工程を軽く見ないほうがいい領域です。
途中で乗り換えてもいい
最初の判断を一生引きずる必要はありません。
現実的なのは、自作で始めて、必要になったら作り直すという順番です。開業直後は分からないことが多く、無理に大きく投資する理由がありません。
乗り換えの目安は、こうした変化が起きたときです。
- 分野が固まり、「この依頼を取りたい」がはっきりした
- 実務が忙しくなり、更新に手が回らなくなった
- 検索から人が来はじめ、あと一歩の改善で差が出そうだと感じる
このとき作り直すのは、失敗ではなく前進です。書くべき内容が定まった状態で作れるので、最初から外注するより良いものになることもあります。
まとめ
- 判断を分けるのは費用ではなく、文章を自分で書けるか
- 自作ツールはデザインは解決するが、文章は解決しない
- 制作費の大部分は「何を書くか」を決める工程への対価
- 自作にも20〜40時間という時間の費用が乗る。開業直後は時間があるので合理的
- いちばん多い失敗は途中で止まることと分野が決まる前に作ること
- 自作で始めて、必要になったら作り直す進め方でよい
よくある質問
Q. WixとWordPress、どちらがいいですか。
自作ならWixやペライチのほうが簡単です。WordPressは自由度が高い反面、サーバーの管理や更新作業が必要になります。将来ブログで集客したいならWordPress、まず名刺代わりのサイトが欲しいだけならWixで十分です。
Q. 自作したサイトを、あとから制作会社に引き継げますか。
ツールによります。Wixは他のサービスへの引っ越しができないため、作り直しになります。WordPressなら引き継げることが多いです。将来外注する可能性があるなら、この差は知っておいてください。
Q. 無料プランでも大丈夫ですか。
事務所のサイトとしては勧められません。広告が表示され、URLもサービス名入りのものになります。士業の信用に関わる部分なので、有料プランと独自ドメインは用意してください。年間1万円ほどで済みます。
Q. そもそも作るべきか迷っています。
分野によっては、まだ必要ない場合があります。判断の基準は「行政書士にホームページは本当に必要か」で整理しています。
