開業して事務所を構えても、電話は鳴りません。
行政書士試験に受かるまでの勉強と、仕事を取ることの間には、ほとんど接点がないからです。試験に出るのは法令であって、集客の話は一問も出ません。それでも開業した翌月から、事務所の家賃と会費は発生します。
この記事では、行政書士が使える集客手段を10個に整理します。ただ並べるだけでは「で、結局どれをやればいいのか」が残るので、すぐ効くもの/積み上がるものに分けたうえで、開業からの時期別にどの順で手をつけるかまで書きました。
集客手段は「攻め」と「待ち」に分かれる
10個の手段は、性質で2つに分かれます。
攻めは、自分から動いて相手に接触するもの。今日動けば今週結果が出る代わりに、動きを止めた瞬間に止まります。
待ちは、見つけてもらう仕組みを作るもの。効き始めるまで数ヶ月かかる代わりに、一度積み上がると勝手に問い合わせが入ります。

| 手段 | 種類 | 効き始めるまで | 費用感 | 止めたら |
|---|---|---|---|---|
| 人脈・前職への挨拶 | 攻め | 即日 | 0円 | 止まる |
| 他士業への挨拶回り | 攻め | 2週間〜 | 交通費 | 細る |
| 交流会・地域の会 | 攻め | 1ヶ月〜 | 参加費 | 止まる |
| テレアポ・DM | 攻め | 即日〜 | 低 | 止まる |
| ホームページ | 待ち | 3〜6ヶ月 | 中 | 残る |
| Googleビジネスプロフィール | 待ち | 1〜3ヶ月 | 0円 | 残る |
| ブログ・SEO | 待ち | 6ヶ月〜 | 時間 | 残る |
| ポータルサイト | 待ち | 即日〜 | 月額 | 止まる |
| SNS | 待ち | 3ヶ月〜 | 時間 | 細る |
| Web広告 | 待ち | 即日 | 高 | 止まる |
ここで大事なのは、どちらか一方では回らないということです。
攻めだけだと、営業を止めた月に売上が消えます。待ちだけだと、効いてくるまでの半年を食いつなげません。開業直後は攻めで当座をしのぎながら、その裏で待ちの仕組みを育てる。この二段構えが基本形です。

【攻め】今日から動かせる4つ
1. 人脈・前職への挨拶
いちばん最初にやるべきで、いちばん軽視されています。
前職の同僚、取引先、学生時代の友人。ここに「行政書士として開業した」と伝えるだけです。売り込む必要はありません。相手の周りで許認可の話が出たときに、あなたの顔が浮かぶかどうかが全てだからです。
ポイントは、伝え方を具体にすること。「行政書士になりました」だけだと何を頼めるか分かりません。「建設業の許可とか、会社を作るときの書類をやってます」まで言うと、相手の記憶に引っかかります。
2. 他士業への挨拶回り
行政書士の案件は、他士業から流れてくる比率が高い仕事です。
税理士は顧問先の会社設立や許認可を、司法書士は登記の周辺業務を、社労士は労務以外の申請を、それぞれ持て余していることがあります。逆にこちらも、登記や税務は渡さなければなりません。紹介は一方通行では続かないので、返せる関係を作ることが前提になります。
回るときは、名刺だけ置いて帰らないこと。「うちはこの分野をやっています」と一枚にまとめた紙を渡すと、後で思い出してもらえます。
3. 交流会・地域の会
商工会議所、法人会、業種別の組合。地域によっては、ここが最大の入口になります。
ただし相性がはっきり出ます。人と話すのが苦にならない人には効率がいい一方、苦手な人が無理をしても続きません。3回行って手応えがなければ、その会は自分に合っていないと判断して構いません。他の手段に時間を回したほうが早いです。
4. テレアポ・DM
賛否が分かれますが、分野を絞れば今も機能します。
たとえば建設業許可なら、決算変更届の提出時期が読めます。産廃なら更新の周期が決まっています。「今まさに困っている先」を名簿から絞れる分野では、闇雲な架電にはなりません。
逆に、相続や離婚のような個人向けの分野は、いつ発生するか読めないのでテレアポは向きません。ここは待ちの手段でカバーする領域です。
【待ち】積み上がると効いてくる6つ
5. ホームページ
待ちの手段の中心です。他の全部がここに接続します。
Googleマップを見た人も、SNSで知った人も、紹介で名前を聞いた人も、最後は必ず検索して事務所のサイトを見ます。そこで何も出てこない、または情報が古いままだと、そこまでの努力が全部そこで落ちます。
制作の現場でよく見るのは、サイトを公開した直後に増えるのが「新規の検索流入」ではなく「紹介された人からの問い合わせ」という順番です。検索で見つけてもらうには時間がかかりますが、すでにあなたを知っている人の背中を押す効果は、公開したその日から出ます。
よくある誤解が「作れば問い合わせが来る」というもの。来ません。ホームページは見つけてもらう入口と信頼してもらう受け皿の2役があり、後者は作った瞬間から効きますが、前者はSEOやMEOと組み合わせて初めて効きます。
→ 詳しくは「行政書士にホームページは本当に必要か」で書いています。
6. Googleビジネスプロフィール(MEO)
費用0円で、いちばん費用対効果が高い手段です。
「地域名 + 行政書士」で検索したとき、地図と一緒に事務所が3件表示されます。あの枠に入れるかどうかで、地域からの問い合わせが変わります。
やることは登録して、写真を載せて、業務内容を書いて、口コミをもらう。それだけです。にもかかわらず、登録すらしていない事務所が地方ではまだ多く残っています。やっていない人が多いということは、やれば抜けるということです。
7. ブログ・SEO
時間はかかりますが、積み上がり方がいちばん大きい手段です。
行政書士は、この点で有利な立場にいます。依頼者が検索するのは「困っている瞬間」だからです。「建設業許可 決算変更届 期限」と検索する人は、今それで困っています。その答えを書いておけば、困っている人と直接つながります。
ただし、半年は成果が見えません。ここで止める人が大半です。逆に言えば、続けた人だけが残る領域でもあります。
8. ポータルサイト
登録すれば即日から露出できるのが利点です。
一方で、同じページに競合が並ぶため、価格で比較されやすくなります。単価を下げないと勝てない構造に入りやすいので、当座の売上を作る手段と割り切って、並行して自前の集客を育てるのが安全です。
9. SNS
分野との相性がはっきり出ます。
相続、離婚、外国人ビザなど個人が依頼者になる分野では機能します。一方で建設業許可や産廃のような法人向けの分野では、費やした時間に対して案件になりにくい傾向があります。
やるなら1つに絞ること。X・Instagram・YouTubeを同時に始めて、3ヶ月で全部止まるのがいちばんもったいないパターンです。
10. Web広告
お金で時間を買う手段です。
クリック単価は分野によりますが、士業系は決して安くありません。予算を入れれば明日から表示されますが、止めた瞬間にゼロに戻ります。
向いているのは、すでに受注の流れができていて、単に量を増やしたい段階です。まだ何が刺さるか分からない開業直後に大きく投じるのは、勧められません。
結局、どの順番でやるか
時期で優先順位が変わります。

開業直後にホームページから作り始める人が多いのですが、順番としては逆です。
まず攻めで数件受けて、「どの分野の、どんな相談が来るか」を掴む。それが分かってからサイトを作ったほうが、書くべき内容が定まります。分野が決まらないまま作ったサイトは、結局「何でもやります」になり、誰にも刺さりません。
やりがちな失敗3つ
全部を同時に始める。 手段が10個あると全部やりたくなりますが、1人事務所で10個は回りません。攻めから2つ、待ちから2つ。まずはそれで十分です。
3ヶ月で判断する。 待ちの手段は半年からです。3ヶ月で「効果がない」と切ると、いちばん効く手段を毎回捨てることになります。
分野を絞らない。 「何でもやります」は、依頼者からは「何も専門がない」に見えます。絞ると仕事が減ると思われがちですが、実際は逆で、絞ったほうが指名で来ます。
まとめ
- 集客手段は「攻め」と「待ち」に分かれ、両方を並行して回すのが基本
- 開業直後は攻めで当座をしのぎ、裏で待ちの仕組みを育てる
- 費用0円で効果が高いのはGoogleビジネスプロフィール。まだなら今日登録する
- ホームページは全ての受け皿。ただし作っただけでは問い合わせは来ない
- 手を広げず、攻め2つ・待ち2つに絞る
- 分野を絞ったほうが、結果的に指名で来る
よくある質問
Q. 開業直後、いちばん最初にやるべきことは何ですか。
前職や知人への挨拶です。費用がかからず、その日から動けて、いちばん反応が早い手段だからです。ホームページや広告は、そのあとで構いません。
Q. ホームページは自分で作れますか。
作れます。ただし、作ることと検索で見つかることは別の問題です。自作で問題ないケースと、そうでないケースの判断基準は「行政書士のHP|自作(Wix)と制作会社どっちが得」で整理しています。
Q. 集客にどれくらい予算を見ておくべきですか。
開業直後は、お金より時間を使う手段から始めるのが安全です。Googleビジネスプロフィールは0円、挨拶回りは交通費だけです。広告は、受注の流れができてからで間に合います。
Q. 分野はどうやって決めればいいですか。
前職の経験、人脈が届く業界、地域に事業者が多い分野。この3つの重なりから選ぶと、最初の数件が取りやすくなります。興味だけで選ぶと、紹介が発生しません。
ホームページのことで迷ったら
DekiruDe合同会社は、行政書士専門のホームページ制作をしています。サイト制作のほか、内部SEO対策・MEO対策・広告運用まで対応しています。
「そもそも作るべきか」の段階からご相談いただけます。実際に多いのは、分野が固まっていない/何を載せればいいか分からない/今あるサイトから問い合わせが来ないという3つです。
ご相談中はすべて無料です。まだ作らないほうがいい段階なら、そうお伝えします。
